遺産分割協議とは?
相続が発生した際、亡くなった方(被相続人)の財産を相続人同士でどのように分けるかを決める話し合いを「遺産分割協議」といいます。
預貯金、不動産、株式、自動車などの財産がある場合、相続人全員で協議を行い、その内容を「遺産分割協議書」としてまとめるのが一般的です。
特に不動産の相続登記や銀行口座の解約手続きでは、遺産分割協議書が必要になるケースが多いため、適切に進めることが重要です。
2024年4月から相続登記が義務化されたことにより、遺産分割協議の重要性はこれまで以上に高まっています。
遺産分割協議が必要になるケース
次のような場合は遺産分割協議が必要です。
① 遺言書がない場合で法定相続分と異なる分け方を希望する場合
被相続人が有効な遺言書を残していない場合は、法定相続人全員で遺産分割協議を行います。
② 遺言書に記載されていない財産がある場合
遺言書があっても、一部の財産しか記載されていない場合は、残りの財産について協議が必要です。
遺産分割協議の流れ
ステップ1 相続人を確定する
まずは誰が相続人になるのかを調査します。
そのためには被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集する必要があります。
相続人調査が不十分だと、後から新たな相続人が判明し、協議をやり直す必要があります。
ステップ2 遺産を調査する
次に財産を調査します。
主な相続財産
- 預貯金
- 不動産
- 株式・投資信託
- 自動車
- 生命保険
- 貸付金
- 貴金属
マイナスの財産
- 借金
- 住宅ローン
- 未払金
- 保証債務
プラスの財産だけでなく負債も確認することが重要です。
ステップ3 財産目録を作成する
調査した財産を一覧化します。
財産目録の例
| 財産 | 金額 |
|---|---|
| 預貯金 | 1,000万円 |
| 自宅不動産 | 2,000万円 |
| 株式 | 300万円 |
| 合計 | 3,300万円 |
財産目録を作成することで相続人全員が財産内容を共有できます。
ステップ4 相続人全員で話し合う
財産内容が確定したら分割方法を協議します。
よくある分け方
【均等分割】
父の遺産3,000万円
↓
子A 1,500万円
子B 1,500万円
【不動産を長男が取得】
不動産 2,000万円 → 長男
預金 1,000万円 → 次男
差額は代償金で調整
【換価分割】
不動産を売却
↓
売却代金を分配
それぞれにメリット・デメリットがあります。
ステップ5 遺産分割協議書を作成する
協議内容がまとまったら遺産分割協議書を作成します。
記載内容の例
- 被相続人の氏名
- 死亡日
- 相続人の氏名
- 財産の内容
- 誰が何を取得するか
相続人全員が署名し実印を押印します。
ステップ6 各種名義変更手続きを行う
協議書完成後は各機関で名義変更を行います。
主な手続き
- 相続登記
- 預貯金解約
- 株式名義変更
- 自動車名義変更
遺産分割協議でよくあるトラブル
相続人の一人が連絡を取れない
相続人全員の参加が必要です。
一人でも欠けると協議は成立しません。
行方不明の場合は家庭裁判所で不在者財産管理人を選任する手続きが必要になることがあります。
認知症の相続人がいる
認知症などで判断能力がない場合、そのままでは協議できません。
成年後見人の選任が必要になるケースがあります。
財産の使い込みが疑われる
生前の預金引き出しなどで争いになるケースがあります。
取引履歴を取得し、事実関係を確認することが重要です。
不動産の評価額で意見が合わない
不動産は現金のように均等に分けられません。
評価方法によって金額が変わるため揉めやすい財産です。
必要に応じて不動産会社の査定や不動産鑑定士の評価を利用します。
遺産分割協議で注意すべきポイント
相続人全員の同意が必要
一人でも反対すれば成立しません。
電話や口約束だけでは不十分です。
必ず書面化しましょう。
相続登記義務化に注意
2024年4月から相続登記が義務化されています。
不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請しなければなりません。
正当な理由なく放置すると過料の対象となる可能性があります。
相続税申告期限は10か月
相続税が発生する場合は、相続開始を知った日から10か月以内に申告・納税が必要です。
遺産分割協議がまとまらないと税務上の特例が使えなくなる場合があります。
二次相続も考慮する
例えば父が亡くなり母が全財産を相続した場合、将来母が亡くなると再び相続が発生します。
目先の節税だけでなく、将来の相続も見据えた分割方法を検討することが重要です。
遺産分割協議がまとまらない場合
話し合いで解決できない場合は家庭裁判所の手続きを利用します。
遺産分割調停
家庭裁判所の調停委員を介して話し合います。
遺産分割審判
調停でもまとまらない場合、裁判官が最終的な判断を行います。
時間や費用がかかるため、できる限り協議段階での解決が望ましいでしょう。
司法書士に依頼するメリット
遺産分割協議は法律や戸籍、不動産登記の知識が必要になります。
司法書士へ依頼することで、
- 戸籍収集
- 相続人調査
- 財産調査
- 遺産分割協議書作成
- 相続登記
- 金融機関手続きサポート
などをスムーズに進めることができます。
特に相続人が多いケースや不動産が含まれるケースでは専門家のサポートが有効です。
まとめ
遺産分割協議は相続手続きの中でも特に重要な手続きです。
- 相続人を確定する
- 財産を調査する
- 財産目録を作成する
- 相続人全員で協議する
- 遺産分割協議書を作成する
- 名義変更を行う
という流れで進めます。
相続人同士のトラブルや相続登記義務化への対応を考えると、早めに専門家へ相談することが大切です。
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