はじめに

「親が亡くなり実家を相続したものの、そのまま空き家になっている」

「遠方に住んでいるため管理ができない」

「いつか売却しようと思いながら何年も経過している」

このようなケースは少なくありません。

しかし、相続した空き家を放置すると、固定資産税の増額、近隣トラブル、損害賠償責任など、さまざまなリスクが発生します。

近年は空き家問題が社会問題となっており、国や自治体による規制も強化されています。2023年の空家法改正により、「管理不全空家」という新たな制度が設けられ、従来よりも早い段階で行政指導の対象となるようになりました。

この記事では、相続した空き家を放置するリスクと対策について、京都の司法書士がわかりやすく解説します。


なぜ空き家が問題になるのか

総務省の調査によると、日本全国の空き家は年々増加しています。

特に相続によって取得した実家がそのまま放置されるケースが多く、適切な管理がされない空き家は地域全体に悪影響を及ぼします。


リスク① 建物の老朽化・倒壊

空き家は人が住まなくなると急速に傷みます。

主な原因

  • 換気不足
  • 雨漏り
  • シロアリ被害
  • 給排水設備の劣化
  • 雑草の繁茂

特に京都市内でも築40年以上の住宅は少なくありません。

放置期間が長くなると、屋根瓦の落下、外壁の崩落、塀の倒壊などの危険が生じます。

空き家が倒壊し、通行人や隣家に損害を与えた場合、所有者は損害賠償責任を負う可能性があります。


リスク② 固定資産税が大幅に増える可能性

空き家所有者が最も注意すべきリスクの一つです。

現在、住宅が建っている土地には「住宅用地特例」があり、固定資産税が軽減されています。

しかし、

  • 特定空家
  • 管理不全空家

に指定され、市区町村から勧告を受けると、この特例が解除される場合があります。法改正後は「特定空家になる前段階」である管理不全空家も対象となりました。その結果、固定資産税負担が大幅に増加する可能性があります。


リスク③ 近隣住民とのトラブル

空き家の放置は近隣住民に迷惑をかける原因となります。

よくある苦情

  • 雑草が伸びる
  • 樹木が越境する
  • 害虫が発生する
  • 野良猫が住み着く
  • ゴミが不法投棄される

さらに、

  • 景観悪化
  • 防犯上の不安

も発生します。

近隣から自治体へ通報されることで行政指導につながるケースもあります。


リスク④ 不法侵入・犯罪利用

人が住んでいない家は犯罪の標的になりやすくなります。

例えば、

  • 空き巣
  • 放火
  • 不法占拠
  • 不法投棄

などです。

国土交通省も空き家放置による防犯上の問題を指摘しています。

放火などが発生すると、所有者自身も大きな損害を受けることになります。


リスク⑤ 損害賠償責任

空き家の所有者には管理責任があります。

例えば、

  • 外壁が落下した
  • 樹木が倒れた
  • 瓦が飛散した

などにより第三者へ損害が発生した場合、所有者が損害賠償を請求される可能性があります。特に台風や地震後は注意が必要です。


リスク⑥ 売却しにくくなる

空き家は時間が経つほど資産価値が下がります。

売却価格が下がるだけでなく、解体費用、測量費用、残置物処分費などの負担も増えていきます。


リスク⑦ 相続人同士のトラブル

空き家を放置すると相続人間の意見対立も起こりやすくなります。

よくあるケース

  • 売却したい人
  • 保有したい人
  • 賃貸に出したい人

で意見が分かれる

遺産分割協議がまとまらない

手続きが進まない

放置期間が長いほど問題は複雑になります。


リスク⑧ 相続登記義務違反

2024年4月から相続登記が義務化されました。

不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記を行う必要があります。

正当な理由なく放置すると過料の対象となる可能性があります。空き家だからといって登記を後回しにすることはできません。


空き家を放置しないための対策

① 相続登記を早めに行う

まずは所有者を明確にしましょう。

名義変更が終わらなければ売却も活用も進みません。


② 定期的に管理する

最低でも

  • 換気
  • 通水
  • 草刈り
  • 郵便物確認

を行うことが重要です。

遠方の場合は管理会社の利用も検討しましょう。


③ 売却する

利用予定がない場合は売却も有効です。

空き家のまま保有し続けるより、固定資産税負担の解消、管理負担の解消につながります。

※※※空き家特例を活用※※※

一定要件を満たす場合、「被相続人居住用家屋の3,000万円特別控除」を利用できる可能性があります。

通常、不動産を売却して利益(譲渡所得)が出ると、その金額に対して約20%〜39%の所得税・住民税が課せられます。

しかし、相続した空き家を売却する場合、一定の条件を満たせば利益から最大3,000万円まで差し引けるのが「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」です。

税負担を大幅に軽減できる場合があるため、専門家へ相談しましょう。


④ 賃貸として活用する

立地によっては賃貸住宅として活用できる場合があります。

家賃収入を得ながら資産を維持できます。


司法書士へ相談するメリット

相続した空き家については、

  • 相続登記
  • 遺産分割協議書作成
  • 相続人調査
  • 不動産売却前の権利関係確認

などが必要になります。

司法書士へ早めに相談することで、将来的なトラブルを防ぎながらスムーズに手続きを進めることができます。


まとめ

相続した空き家を放置すると、

  • 建物の老朽化
  • 倒壊リスク
  • 損害賠償責任
  • 固定資産税増額
  • 相続人トラブル
  • 売却困難
  • 相続登記義務違反

など多くの問題が発生します。

特に近年は空家法改正により、管理不全空家に対する行政指導が強化されており、「とりあえず放置」は大きなリスクとなっています。

相続した空き家がある場合は、できるだけ早い段階で専門家へ相談し、適切な対策を検討しましょう。


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参考リンク

政府広報オンライン:空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化

国土交通省:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報

国土交通省:空家法とは

国土交通省:固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置

国税庁:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

国土交通省:空き家の発生を抑制するための特例措置

国税庁:老人ホーム入所の場合の空き家特例