相続手続きにおいて、相続人が多いという状況は決して珍しくありません。特に、被相続人(亡くなった方)が高齢であった場合や、相続登記を長年放置していた不動産の場合、相続人が30人以上になるケースもあります。
相続人が多いと、遺産分割協議がまとまりにくくなり、相続登記や預貯金の解約などの手続きが大幅に遅れる原因になります。また、放置している間にさらに相続が発生し、権利関係が複雑化することも少なくありません。
この記事では、相続人が多い場合に起こりやすい問題や注意点、具体例、スムーズに手続きを進める方法について、京都の司法書士がわかりやすく解説します。
相続人が多くなるケースとは?
一般的な相続では、配偶者と子どもが相続人になることが多いですが、次のようなケースでは相続人の人数が増える傾向があります。
1. 相続登記を長年放置していたケース
例えば祖父名義の不動産があり、祖父が亡くなった後に相続登記をしていなかった場合です。
祖父の相続人である子どもが複数人おり、その子どもたちも亡くなっていると、孫世代や曾孫世代まで相続人になります。
その結果、相続人が10人、20人、場合によっては30人以上になることもあります。
2. 子どもが多いケース
被相続人に子どもが5人、6人いる場合、それだけで相続人が多数になります。
さらに、そのうちの一人が亡くなっている場合には代襲相続が発生し、孫が相続人となるため人数が増加します。
3. 兄弟姉妹相続の場合
被相続人に配偶者や子ども、親がいない場合、兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹が既に亡くなっている場合には甥・姪が代襲相続人となり、多数の相続人が発生するケースがあります。
相続人が多い場合の主な問題点
1. 遺産分割協議がまとまりにくい
相続人が多いほど、それぞれの考え方や事情が異なります。
例えば、売却したい人、不動産を残したい人、現金で分けたい人、相続放棄を考えている人、など意見が一致しないことがあります。
相続人が1人でも反対すると遺産分割協議は成立しません。
また、相続人の中に認知症の方がいると、法定代理人(成年後見人等)を選任してからでないと手続きを進めることができないという事態も発生します。
そのため人数が増えるほど調整が難しくなります。
2. 連絡が取れない相続人がいる
相続人が全国各地に住んでいるケースは珍しくありません。
中には、何十年も交流がない、住所がわからない、海外在住、音信不通というケースもあります。
相続登記や遺産分割協議には全員の参加が必要となるため、一人でも連絡が取れないと手続きが進まなくなります。
3. 必要書類の収集が大変
相続手続きでは、戸籍謄本や印鑑証明書などを集める必要があります。
遺産分割協議書に基づき相続登記をする場合、相続人が10人いれば印鑑証明書も10通必要になります。
人数が多いほど書類収集の負担も大きくなります。
4. 相続登記が進まない
2024年4月から相続登記が義務化されました。
不動産を取得したことを知ってから3年以内に相続登記を申請しなければならず、正当な理由なく放置した場合には過料の対象となる可能性があります。
相続人が多いことを理由に放置していると、法的なリスクも生じます。
具体例① 相続人が15人になったケース
祖父名義の土地が京都市内にありました。
祖父には子どもが7人いましたが、相続登記をしないまま放置。
その後、7人の子どものうち5人が亡くなり、最終的な相続人は合計15人になりました。
土地を売却したいと考えたものの、一部の相続人と連絡が取れない、印鑑証明書が集まらない
遺産分割協議書への署名が揃わない、という状況になり、手続き完了までかなり時間がかかりました。
具体例② 兄弟姉妹相続で相続人が20人になったケース
被相続人に配偶者も子どももおらず、兄弟姉妹が相続人となりました。
しかし兄弟姉妹の多くが既に亡くなっており、甥・姪が代襲相続人になりました。
結果として相続人は20人にもなり、さらに全国各地に居住していましたため、書類のやりとりに非常に時間がかかりました。
相続人が多い場合の解決方法
1. 早めに戸籍調査を行う
まずは誰が相続人なのかを確定することが重要です。
相続人調査が不十分で後に新たな相続人が判明した場合は、遺産分割協議が無効になります。
2. 相続関係説明図を作成する
相続人が多い場合には家系図形式の相続関係説明図が非常に有効です。
誰がどの立場で相続人になっているのかを一目で確認できます。
相続人同士の説明もしやすくなります。
3. 代表者を決める
相続人全員が個別に連絡を取り合うと混乱します。
代表者を一人決め、
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書類の取りまとめ
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連絡窓口
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協議内容の共有
を行うことで効率化できます。
4. 司法書士など専門家に依頼する
相続人が多いケースでは専門家の関与が非常に有効です。
司法書士に依頼すると、戸籍収集、相続人調査、相続関係説明図作成、遺産分割協議書作成、相続登記申請まで一括して対応できます。
特に以下の場合は、専門家に相談されることを強くお勧めします。
① 代襲相続が発生している場合
(本来相続人となるはずだった子や兄弟姉妹が、被相続人の死亡前に死亡したり欠格・廃除で相続権を失った場合に、その者の子(孫や甥・姪)が代わりに同じ相続分を承継する場合)
② 数次相続が発生している場合
(一次相続の手続きが未了のままその相続人が死亡して二次相続が発生している場合)
③ 昭和55年12月31日以前より前に相続が発生している場合
適用される法が現行とは異なるので、非常に注意が必要です。
特に、代襲相続の有無、範囲などが時期によって異なるので、相続人の範囲、法定相続分に大きく影響します。
まとめ
相続人が多い場合には、遺産分割協議がまとまりにくい、書類収集が大変、相続人との連絡が難しい、相続登記が進まないといった問題が生じます。
特に相続登記の義務化以降は、早めの対応がこれまで以上に重要になっています。
相続人が多い案件ほど、放置せず、早期に戸籍調査や相続人確定を行うことが大切です。
「相続人が何人いるかわからない」
「昔の相続登記がされていない」
「相続人同士で連絡が取れない」
という場合は、司法書士へ早めに相談されることをおすすめします。
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相続人が多く手続きが複雑になっている場合でも、お気軽にご相談ください。


