長年一緒に暮らしている内縁のパートナーや同性パートナーがいらっしゃる場合、自分が亡くなったら、パートナーが安心して生活できるようにしたい、と考えている方は多いです。
しかし、たとえ長年一緒に暮らしていても、内縁のパートナーや同性パートナーは、法定相続人ではないため、なんらかの手続き講じていなければ、財産を引き継ぐことはできません。
婚姻届を提出していない内縁・事実婚のパートナーは、法定相続人には含まれません。
国税庁も、相続人の範囲について「内縁関係の人は、相続人に含まれません」と明記しています。
また、法律上の婚姻関係にない同性パートナーについても、自治体のパートナーシップ制度を利用しただけで法定相続権が生じるわけではありません。
京都市も、パートナーシップ宣誓制度について、婚姻や親族関係の形成、相続、税金の控除などの法律上の効果を生じさせる制度ではないと説明しています。
そのため、大切なパートナーに自宅や預貯金などを確実に残したいのであれば、生前の準備が非常に重要です。
この記事では、内縁・事実婚のパートナーや同性パートナーに財産を残す方法について、遺言、生命保険、生前贈与、死因贈与、家族信託などの方法と、遺留分・相続税・不動産登記の注意点まで詳しく解説します。
- 1.内縁・同性パートナーは法定相続人にはならない
- 2.何も対策しないまま亡くなるとどうなる?
- 3.対策① 遺言書でパートナーに財産を「遺贈」する
- 4.自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらがよい?
- 5.対策② 遺言執行者を指定しておく
- 6.注意点① 子どもや両親がいる場合は「遺留分」を確認する
- 7.対策③ 生命保険を活用する
- 8.対策④ 生前贈与をする
- 9.対策⑤ 死因贈与契約を検討する
- 10.対策⑥ 家族信託・民事信託を検討する
- 11.対策⑦ 自宅と生活資金を分けて設計する
- 12.注意点② 相続税の「配偶者の税額軽減」は利用できない
- 13.注意点③ 相続税が2割加算される
- 14.注意点④ 自宅を遺贈すると登録免許税にも違いがある
- 15.「特別縁故者になれば財産をもらえる」と考えるのは危険
- 16.ケース別に見る内縁・同性パートナーの相続対策
- 17.パートナーシップ宣誓をしていても遺言書は作成した方がよい?
- 18.内縁・同性パートナーへの相続対策で確認したい7つのポイント
- まとめ|パートナーに財産を残したいなら「何もしない」が一番のリスク
- 参考リンク
1.内縁・同性パートナーは法定相続人にはならない
民法では、亡くなった方の「配偶者」は常に相続人となります。また、子、直系尊属、兄弟姉妹などが法律で定められた順位に従って相続人になります。
これに対して、婚姻届を提出していない内縁・事実婚のパートナーは法定相続人にはなりません。
たとえば、30年間夫婦同然に暮らしていたとしても、婚姻届を提出していなければ、パートナーであるという理由だけで亡くなった方の預貯金や不動産を相続することはできません。
同性パートナーについても同様です。
京都市のパートナーシップ宣誓受領証を持っていたとしても、その受領証によって民法上の相続人になるわけではありません。
2.何も対策しないまま亡くなるとどうなる?
具体的なケースで考えてみましょう。
AさんとBさんは25年間一緒に生活している内縁のパートナーです。
二人が住んでいる自宅はAさんの単独名義で、Aさんには次の財産があります。
自宅 3,000万円
預貯金 1,500万円
株式 500万円
合計5,000万円です。
Aさんには子どもがおらず、両親も既に亡くなっていますが、弟と妹がいます。
Aさんが遺言書を作成しないまま亡くなった場合、Bさんは法定相続人ではありません。
Aさんの弟と妹が相続人となります。
自宅についても同じです。
「Bさんが25年間住んでいる家だから、そのままBさんのものになる」ということにはなりません。
Aさんの兄弟姉妹が自宅を相続することになれば、Bさんがその家に住み続けることが難しくなります。
このような事態を防ぐために、まず検討したいのが遺言書です。
3.対策① 遺言書でパートナーに財産を「遺贈」する
内縁・同性パートナーへの財産承継で、特に重要なのが遺言書です。
法定相続人ではない人に遺言によって財産を渡すことを「遺贈」といいます。
法務省の自筆証書遺言書保管制度の案内でも、推定相続人以外の人に財産を渡す場合は「相続させる」ではなく「遺贈する」と記載することが案内されています。
たとえば、
「遺言者は、遺言者所有の土地及び建物を○○に遺贈する」
「遺言者は、○○銀行○○支店の預金を○○に遺贈する」
「遺言者は、その所有する全財産を○○に包括して遺贈する」
といった内容の遺言を作成することが考えられます。
特に「現在二人で住んでいる自宅をパートナーに残したい」という場合には、不動産を特定した遺言書を作成しておくことが重要です。
登記事項証明書を確認し、土地であれば所在・地番、建物であれば所在・家屋番号などを確認したうえで、対象となる不動産が明確になるよう記載します。
4.自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらがよい?
遺言には複数の方式がありますが、実務上よく利用されるのが自筆証書遺言と公正証書遺言です。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、自分で作成できることが大きな特徴です。
ただし、法律で定められた方式を守る必要があります。
法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、遺言書の原本を法務局で保管してもらうことができます。
また、この制度を利用して法務局に保管されている遺言書については、亡くなった後の家庭裁判所での検認が不要です。
公正証書遺言
公正証書遺言は、公証人が関与して法律で定められた方式により作成する遺言です。
公証人が法定の方式に従って作成するため安全・確実性が高く、家庭裁判所による検認も不要です。
内縁・同性パートナーへの遺贈では、法律上の親族以外の方が大きな財産を取得するケースがあります。
そのため、
「全財産をパートナーに残したい」
「自宅を必ずパートナーに残したい」
「親族とパートナーの関係が良くない」
「遺言書の有効性をめぐる争いをできるだけ避けたい」
という場合には、公正証書遺言で作成することをお勧めします。
5.対策② 遺言執行者を指定しておく
パートナーへの遺贈をする場合には、遺言書の内容だけでなく、「亡くなった後に誰が遺言を実現するのか」まで考えておくことが大切です。
そこで検討したいのが遺言執行者です。
遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行います。
内縁・同性パートナーへの遺贈では、法定相続人となる親族と財産を受け取るパートナーが別人になります。
そのため、「遺言を書いたから大丈夫」で終わらせるのではなく、遺言執行者まで指定しておくことで、相続開始後の手続きを進めやすくできます。
司法書士などの専門職を遺言執行者として指定する方法もあります。
6.注意点① 子どもや両親がいる場合は「遺留分」を確認する
「全財産をパートナーに遺贈する」という遺言書を作成することはできます。
しかし、相続人に配偶者、子ども、直系尊属がいる場合には、遺留分について考える必要があります。
遺留分とは、一定の相続人について法律上保障されている最低限の取り分です。
たとえば、Aさんに前婚の子どもCさんがいるとします。
Aさんが、「全財産をパートナーBさんに遺贈する」という遺言書を作成して亡くなった場合、Cさんは遺留分侵害額請求を行うことができます。
現在の制度では、遺留分を侵害された人は、財産そのものの返還ではなく、侵害額に相当する金銭の支払いを請求します。
そのため、自宅をBさんに遺贈できたとしても、BさんがCさんから多額の遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
自宅は取得できたものの、遺留分を支払う現金がないという問題が生じることも考えられます。結局、自宅を処分して現金を捻出しなければならない、という事態になりかねませんので、遺留分侵害額請求を受けた場合の対策についても考えておくべきです。
兄弟姉妹には遺留分がない
一方、兄弟姉妹には遺留分がありません。
たとえば、
子どもがいない
両親・祖父母も既に亡くなっている
相続人となるのは兄弟姉妹だけ
というケースでは、兄弟姉妹に遺留分はありません。
そのため、このようなケースでは遺言によって全財産をパートナーに遺贈することが、非常に重要な相続対策となります。
7.対策③ 生命保険を活用する
生命保険もパートナーの生活を守るために検討できる方法です。
保険会社や商品によっては、一定の条件を満たす内縁・事実婚のパートナーや同性パートナーを死亡保険金の受取人として指定できる場合があります。
受取人として指定できる範囲や必要書類は保険会社によって異なるため、契約前に確認する必要があります。
生命保険には、亡くなった後の生活資金を確保しやすいというメリットがあります。
特に、
「預貯金の大部分をパートナーに遺贈する予定である」
「遺留分侵害額請求に備える必要がある」
「亡くなった直後の生活費を準備しておきたい」
という場合には検討しておきたい選択肢です。
ただし、税金には注意が必要です。
亡くなった方が保険料を負担していた死亡保険金は、相続税上、みなし相続財産として相続税の対象になります。
また、死亡保険金について設けられている「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額は、相続人が受け取る場合に適用される制度です。
国税庁は、相続人以外の人が取得した死亡保険金には、この非課税制度は適用されないと明記しています。
内縁・同性パートナーは法定相続人ではないため、この点を踏まえた税務上の検討が必要です。
8.対策④ 生前贈与をする
生きている間にパートナーへ財産を贈与しておく方法もあります。
たとえば、
預貯金を贈与する
不動産の持分を贈与する
生活に必要な財産をあらかじめ移転する
といった方法です。
生前贈与の大きな特徴は、自分が生きている間に財産の移転を確認できることです。
しかし、「亡くなった後に相続できないから、今のうちに全部贈与してしまおう」と安易に判断するのはおすすめできません。
多額の贈与をすれば贈与税が課される可能性があります。
不動産を贈与する場合には、贈与税だけでなく、登録免許税や不動産取得税についても確認する必要があります。
さらに、自宅をパートナーへ贈与すれば、その時点でその不動産はパートナーの財産となります。
自分自身の老後の生活資金や介護費用も考えながら、贈与する財産と時期を決めることが重要です。
9.対策⑤ 死因贈与契約を検討する
死因贈与とは、「私が死亡したら、この財産をあなたに贈与します」という内容の契約です。
遺言は遺言者が単独で行うものですが、死因贈与は贈与する側と贈与を受ける側との契約である点に違いがあります。
たとえば、「自分が亡くなったら現在住んでいる自宅をパートナーに渡す」ということについて、パートナーとの間で合意しておく方法が考えられます。
もっとも、死因贈与にも遺贈に関する規定が準用される部分があり、契約内容によって法的効果が異なります。
「遺言と死因贈与のどちらを使うべきか」は一律には決められません。
変更のしやすさ、財産の種類、パートナーとの関係、相続人の構成などを確認したうえで選択する必要があります。
10.対策⑥ 家族信託・民事信託を検討する
認知症対策や財産管理まで含めて準備したい場合は、家族信託・民事信託も選択肢になります。
信託法では、ある受益者の死亡後に別の人が新たに受益権を取得する内容の信託を設定することができる仕組みも定められています。
たとえば、
「自分が元気な間は自分のために財産を管理し、自分が死亡した後はパートナーの生活のために財産を利用できるようにしたい」
といった希望について、信託を活用できます。
ただし、家族信託は単純な遺言の代用品ではありません。
誰を受託者にするのか、誰を受益者にするのか、どの財産を信託するのか、信託が終了したときに財産を誰に帰属させるのかなど、契約全体を設計する必要があります。
税務上の検討も必要になるため、税理士などの専門家との連携が必要になるケースもあります。
11.対策⑦ 自宅と生活資金を分けて設計する
内縁・同性パートナーの相続対策では、「全財産を誰に渡すか」だけでなく、「パートナーの生活をどう守るか」という視点が非常に重要です。
たとえば、
自宅は遺言でパートナーに遺贈する
現金の一部は子どもに残す
生命保険金はパートナーの生活資金にする
というように、財産ごとに役割を分ける方法があります。
特に、自宅はあるものの現金が少ないケースでは、全財産を自宅として残しても、固定資産税や修繕費、相続税、遺留分の支払いなどのための現金が不足する可能性があります。
「自宅を残すこと」と「自宅で生活を続けられること」は同じではありません。
相続後の生活費まで見据えて設計することが大切です。
12.注意点② 相続税の「配偶者の税額軽減」は利用できない
法律上の配偶者には、相続税について大きな税額軽減制度があります。
配偶者が実際に取得した正味の遺産額が「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い金額までであれば、配偶者の税額が軽減される制度です。
しかし、国税庁はこの制度の「配偶者」について、婚姻の届出をした者に限ると明確にしています。
事実上婚姻関係と同様の事情にあっても、婚姻届をしていない内縁関係の人は対象になりません。
13.注意点③ 相続税が2割加算される
さらに注意したいのが、相続税額の2割加算です。
相続や遺贈によって財産を取得した人が、亡くなった方の一親等の血族および配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額に20%相当額が加算されます。
内縁・同性パートナーが遺贈によって財産を取得する場合も、この2割加算の対象となります。
たとえば、パートナーについて計算された相続税額が1,000万円であれば、2割加算によって200万円が加算されることになります。
相続税が発生する規模の財産がある場合は、「遺言で財産を渡せるか」だけではなく、「パートナーが相続税を支払えるか」まで考えておく必要があります。
14.注意点④ 自宅を遺贈すると登録免許税にも違いがある
パートナーに不動産を遺贈した場合には、所有権移転登記が必要です。
このとき、法定相続人が相続によって取得する場合と、法定相続人ではないパートナーが遺贈によって取得する場合では登録免許税率が異なります。
相続人への相続(遺贈を含む)の場合、不動産価額の1,000分の4(0.4%)であるのに対し、相続人ではない人への遺贈の場合は、不動産価額の1,000分の20(2%)です。
たとえば、登録免許税の課税標準となる不動産価額が3,000万円の場合、
相続による登記 12万円
相続人ではないパートナーへの遺贈 60万円
となります。
差額は48万円です。
自宅をパートナーへ残す場合には、不動産そのものだけでなく、登記費用や税金を支払うための資金も考えておく必要があります。
15.「特別縁故者になれば財産をもらえる」と考えるのは危険
内縁のパートナーについては、「特別縁故者として財産をもらえる場合がある」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。
確かに、民法には特別縁故者への相続財産分与という制度があります。
裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた人、被相続人の療養看護に努めた人、その他被相続人と特別の縁故があった人などが、一定の要件のもとで家庭裁判所に相続財産分与を申し立てることができると案内しています。
しかし、この制度があるから遺言書を作らなくてもよい、ということではありません。
特別縁故者への財産分与が問題になるのは、相続人が存在しない場合です。
相続財産清算人が選任され、相続人を捜索するための公告や債務の清算などを経た後に、家庭裁判所が相当と認めた場合に、残った財産の全部または一部が分与されます。
実際に裁判所のQ&Aでも、「亡くなった内縁の夫には相続人がいない」というケースについて、特別縁故者として財産の分与が認められることがあると案内しています。
つまり、亡くなった方に子、直系尊属、兄弟姉妹などの相続人がいれば、パートナーが特別縁故者として財産を取得する制度ではありません。
パートナーへの財産承継を希望しているのであれば、特別縁故者制度をあてにするのではなく、生前に遺言などの対策を行うことが重要です。
16.ケース別に見る内縁・同性パートナーの相続対策
ケース1 相続人が兄弟姉妹だけ
子どもがおらず、両親・祖父母も亡くなっていて、兄弟姉妹が法定相続人となるケースです。
兄弟姉妹には遺留分がありません。
そのため、全財産をパートナーに遺贈する遺言書を作成することで、パートナーへの財産承継を実現できます。
特に自宅がある場合には、遺言書を作成しているかどうかが、パートナーが住み続けられるかに大きく影響します。
ケース2 前婚の子どもがいる
前婚の子どもがいる場合、子どもは法定相続人であり、遺留分があります。
全財産をパートナーへ遺贈する遺言を作成しても、子どもから遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
このようなケースでは、
自宅はパートナーへ遺贈する
預貯金の一部を子どもに残す
生命保険を活用してパートナーの現金を確保する
など、遺留分まで考えた設計が必要です。
ケース3 二人で住んでいる自宅だけはパートナーに残したい
「預貯金は親族に渡っても構わないが、自宅だけはパートナーに残したい」というケースもあります。
この場合、自宅を特定してパートナーへ遺贈する遺言を作成する方法があります。
ただし、自宅の評価額が遺産全体の大部分を占めている場合には、他の相続人の遺留分を侵害する可能性があります。
不動産の価額、預貯金、生命保険など、財産全体を確認して遺言内容を決める必要があります。
ケース4 相続人が誰もいない
戸籍上、子、直系尊属、兄弟姉妹やその代襲相続人がおらず、法律上の配偶者もいないケースです。
この場合でも、「相続人がいないのだから、パートナーが自動的に相続する」ということにはなりません。
遺言がなければ、相続財産清算人による清算手続を経て、特別縁故者への財産分与が問題となります。
確実にパートナーへ財産を残したいのであれば、やはり遺言書を作成しておくことが重要です。
17.パートナーシップ宣誓をしていても遺言書は作成した方がよい?
京都市のパートナーシップ宣誓制度は、二人の関係を尊重し、社会生活上の困りごとの解消などにつなげる重要な制度です。
しかし、京都市自身が明記しているとおり、宣誓によって婚姻や親族関係が形成されたり、相続権や税金の控除が発生したりする制度ではありません。
そのため、
「パートナーシップ宣誓受領証があるので、相続については大丈夫」
と考えるのは危険です。
相続については、パートナーシップ制度とは別に、遺言書などによる財産承継の準備をしておく必要があります。
18.内縁・同性パートナーへの相続対策で確認したい7つのポイント
内縁・同性パートナーに財産を残したい場合には、次の点を確認しておくことをおすすめします。
1.遺言書を作成しているか
2.自宅を誰に残すのか決めているか
3.遺留分を持つ子どもや直系尊属がいるか
4.遺言執行者を指定しているか
5.パートナーが利用できる現金を確保しているか
6.相続税・2割加算・登録免許税まで確認しているか
7.遺言、生命保険、生前贈与、信託などを適切に組み合わせているか
特に不動産がある場合は、「誰に財産を残したいのか」だけでなく、「その人が実際にその財産を維持できるか」という視点が大切です。
まとめ|パートナーに財産を残したいなら「何もしない」が一番のリスク
内縁・事実婚のパートナーや、法律上の婚姻関係にない同性パートナーは、長年一緒に暮らしていたとしても、その関係だけを理由として法定相続人になることはできません。
パートナーに財産を残したいのであれば、生前に準備しておく必要があります。
特に重要なのが遺言書です。
遺言書によって自宅や預貯金などをパートナーへ遺贈し、必要に応じて遺言執行者を指定します。
さらに、家族関係や財産内容に応じて、生命保険、生前贈与、死因贈与、家族信託・民事信託などを組み合わせることも検討できます。
一方で、パートナーへの財産承継には、法律上の配偶者とは異なる注意点があります。
子どもや直系尊属がいれば遺留分の問題があり、相続税については配偶者の税額軽減を利用できません。
相続税額の2割加算が行われるほか、死亡保険金の非課税制度や不動産の登録免許税についても法律上の配偶者や法定相続人とは取扱いが異なります。
そのため、単に「全財産をパートナーに遺贈する」という一文だけを考えるのではなく、
「自宅に住み続けられるか」
「生活資金を確保できるか」
「遺留分を請求されたときに支払えるか」
「相続税や登記費用を支払えるか」
「相続人となる親族とのトラブルを防げるか」
まで含めて設計することが重要です。
家族のあり方が多様化している現在だからこそ、法律上当然に認められる権利と、自分自身で準備しなければ実現できないことを区別して考える必要があります。
「自分が亡くなった後も、大切なパートナーが安心して暮らせるようにしたい」と考えているのであれば、元気なうちに財産や家族関係を整理し、遺言を中心とした生前対策を検討しておくことをおすすめします。
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