近年、全国的に空き家問題が深刻化しています。
相続した実家をどうするか決められず、そのまま放置されてしまうケースも少なくありません。
空き家は、適切に管理されなければ老朽化が進み、近隣トラブルや固定資産税の増加など、さまざまな問題につながります。
こうした事態を防ぐためには、「相続が発生してから考える」のではなく、生前のうちから対策を進めておくことが重要です。
今回は、空き家対策として有効な生前対策について、司法書士の視点から解説します。
空き家が増える主な原因
空き家が発生する背景には、次のような事情があります。
- 親が施設入所・死亡した後、実家がそのまま残る
- 相続人同士で話し合いがまとまらない
- 名義変更がされていない
- 遠方に住んでいて管理ができない
- 売却したくても権利関係が複雑
- 思い入れがあり処分できない
特に、「誰が管理するのか」「売却するのか維持するのか」が決まらないまま放置されるケースが多く見られます。
空き家を放置するリスク
1.建物の老朽化・倒壊リスク
人が住まなくなった建物は急速に劣化します。
屋根や外壁の破損、雑草の繁茂、害虫発生などが起こりやすくなります。
場合によっては倒壊の危険が生じ、近隣住民とのトラブルに発展することもあります。
2.固定資産税の負担増加
管理不十分な空き家は、「特定空家」に指定されることがあります。
特定空家に指定されると、住宅用地特例が解除され、固定資産税が大幅に増える可能性があります。
3.相続人間のトラブル
不動産は簡単に分けられないため、相続人同士で意見が対立しやすい財産です。
- 売却したい人
- 残したい人
- 賃貸にしたい人
それぞれ考え方が異なると、遺産分割協議がまとまらず、長期化することがあります。
空き家対策として有効な生前対策
1.家族で早めに話し合う
最も重要なのは、「実家を将来どうするのか」を家族で共有しておくことです。
- 誰が住む予定なのか
- 売却する可能性はあるか
- 管理は誰が行うのか
- リフォームや解体の予定はあるか
こうした点を事前に話し合っておくだけでも、相続後の混乱を大きく減らせます。
2.遺言書を作成する
不動産の承継先を明確にするためには、遺言書の作成が有効です。
例えば、
- 「長男に自宅不動産を相続させる」
- 「売却して代金を分配する」
など、意思を明確に残すことで、相続人間の争いを防ぎやすくなります。
特に不動産は共有名義にすると管理や処分が難しくなるため、慎重な検討が必要です。
3.生前贈与を活用する
将来的に管理を任せたい子どもへ、生前に不動産を贈与する方法もあります。
生前贈与によって、
- 管理責任を明確にできる
- 売却準備を進めやすい
- 相続時の混乱を減らせる
といったメリットがあります。
もっとも、贈与税や不動産取得税など税務面の検討も必要になるため、専門家への相談が重要です。
4.家族信託を活用する
近年注目されているのが「家族信託」です。
例えば、親が認知症になった場合、本人名義の不動産は売却や管理が難しくなることがあります。
家族信託を利用すれば、元気なうちに子どもへ管理権限を託しておくことが可能です。
これにより、
- 空き家の売却
- 賃貸運用
- 修繕・管理
などを柔軟に行いやすくなります。
5.相続登記を早めに行う
相続発生後は、できるだけ早く相続登記を行うことが大切です。
名義変更がされないまま年月が経過すると、
- 相続人が増える
- 行方不明者が出る
- 話し合いが困難になる
など、問題が複雑化してしまいます。
2024年からは相続登記が義務化されており、放置には注意が必要です。
「実家をどうするか」は早めの準備が大切
空き家問題は、単なる不動産の問題ではなく、家族の将来に関わる重要なテーマです。
「まだ元気だから大丈夫」と思っていても、
- 認知症
- 介護
- 相続人同士の対立
など、突然対応が必要になることもあります。
早めに準備を始めることで、家族の負担を大きく減らすことができます。
まとめ
空き家対策としての生前対策には、
- 家族会議
- 遺言書作成
- 生前贈与
- 家族信託
- 相続登記
など、さまざまな方法があります。
ご家庭の状況によって最適な対策は異なるため、早めに専門家へ相談することが重要です。
不動リーガルオフィスでは、相続・遺言・家族信託・不動産名義変更など、空き家対策に関するご相談を承っております。
「将来、実家が空き家になりそうで不安」という方は、お気軽にご相談ください。

