令和8年(2026年)7月28日に発生した熊本地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
令和8年熊本地震による災害は「特定非常災害」に指定され、一定の相続人について、相続放棄や限定承認をするかどうかを判断する期間が、令和9年(2027年)3月31日まで延長されました。
ただし、熊本県内の相続に関する期限が、すべて一律に延長されたわけではありません。
重要なのは、次の点です。
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令和8年(2026年)7月28日時点の「相続人の住所」がどこにあったか
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その住所が災害救助法の適用地域に含まれているか
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本来の熟慮期間が令和8年(2026年)7月28日以後に満了するか
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延長前に相続財産を処分するなど、単純承認に該当する行為をしていないか
この記事では、相続放棄の期限が延長される対象者、対象地域、手続き、注意点について、司法書士がわかりやすく解説します。
- 令和8年熊本地震による相続放棄期限延長の概要
- 相続放棄の通常の期限は「相続開始を知ったときから3か月」
- なぜ熊本地震で熟慮期間が延長されたのか
- 相続放棄の期限延長の対象となる人
- 被相続人の住所ではなく「相続人の住所」が基準
- 延長対象者は別途「延長申立て」をしなければならないのか
- 相続放棄の手続きはどこの家庭裁判所でするのか
- 期限が延長されても注意したい「単純承認」
- 相続放棄では一部の財産だけを選べない
- 1人が相続放棄すると次順位の相続人へ移ることがある
- 2027年3月31日まで待たずに財産調査を始める
- 2027年3月31日までに判断できない場合
- 今回の延長と相続税・相続登記の期限は別制度
- 特例の対象外でも諦めずに確認する
- まとめ
- 参考リンク
令和8年熊本地震による相続放棄期限延長の概要
令和8年(2026年)8月7日、令和8年熊本地震による災害を特定非常災害として指定する政令が公布・施行されました。
これにより、一定の相続人について、相続の承認または放棄をすべき期間が令和9年(2027年)3月31日まで延長されています。
制度の概要を整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象となる災害 | 令和8年熊本地震 |
| 特定非常災害発生日 | 令和8年(2026年)7月28日 |
| 対象となる人 | 発災日時点で災害救助法適用地域に住所を有していた相続人 |
| 対象となる熟慮期間 | 本来の終期が令和8年(2026年)7月28日以後となるもの |
| 延長後の期限 | 令和9年(2027年)3月31日 |
| 対象となる手続き | 相続放棄、限定承認など相続の承認・放棄に関する判断 |
法務省も、今回の特例について、対象となる相続人の相続放棄等の熟慮期間を令和9年(2027年)3月31日まで延長すると案内しています。
相続放棄の通常の期限は「相続開始を知ったときから3か月」
相続が開始した場合、相続人は、原則として次の3つの方法から選択します。
単純承認
被相続人の預貯金、不動産、株式などのプラスの財産と、借金、保証債務、未払金などのマイナスの財産をすべて引き継ぐ方法です。
特別な手続きをせず、熟慮期間内に相続放棄または限定承認をしなかった場合は、原則として単純承認をしたものとみなされます。
相続放棄
預貯金や不動産などのプラスの財産も、借金などのマイナスの財産も、一切引き継がない方法です。
相続放棄をするには、家庭裁判所に「相続放棄の申述」をしなければなりません。
相続人同士で「私は相続しない」と話し合っただけでは、法律上の相続放棄にはなりません。
限定承認
相続によって取得したプラスの財産の範囲内で、被相続人の債務を負担する方法です。
借金の総額が分からないものの、不動産などの財産が残る可能性もある場合に検討される手続きです。
ただし、限定承認は共同相続人全員で行う必要があり、手続きも複雑です。
通常、相続放棄や限定承認は、「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」に家庭裁判所で手続きをする必要があります。
この3か月を「熟慮期間」といいます。
必ずしも被相続人が亡くなった日から3か月ではありません。
例えば、先順位の相続人が相続放棄をしたことによって自分が相続人になった場合は、その事実を知ったときから熟慮期間が進行します。
なぜ熊本地震で熟慮期間が延長されたのか
大規模災害が発生すると、相続人が通常どおりに財産調査や裁判手続きを進めることが難しくなります。
例えば、次のような問題が考えられます。
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自宅が被災して通帳や契約書が見つからない
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避難生活により郵便物を確認できない
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市区町村役場で戸籍などを取得することが難しい
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金融機関や関係事業者への照会に時間がかかる
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被相続人の自宅や事業所に立ち入れない
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借入先、保証債務、税金の滞納状況を調査できない
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家庭裁判所への申述書類を準備できない
このような状況で通常どおり3か月の期限を適用すると、十分な調査ができないまま相続放棄をするか、借金を含めて相続するかを判断しなければなりません。
そこで、被災者の権利を保護するため、令和8年熊本地震による災害が特定非常災害に指定され、相続の承認・放棄に関する熟慮期間の特例が設けられました。
相続放棄の期限延長の対象となる人
今回の特例の対象となるには、主に次の条件を確認する必要があります。
1.令和8年7月28日時点で対象地域に住所を有していたこと
住所の基準日は、令和8年熊本地震が発生した令和8年(2026年)7月28日です。
その日時点で、災害救助法が適用された市町村の区域に住所を有していた相続人が対象です。
発災日後に対象地域から転居した場合でも、発災日時点で住所を有していたのであれば、対象となる可能性があります。
住所は単に住民票の記載だけでなく、実際の生活の本拠がどこにあったかが問題となる場合があります。
住民票上の住所と実際の居住地が異なる場合には、家庭裁判所や専門家へ早めに確認してください。
2.住所が災害救助法の適用地域に含まれていること
令和8年熊本地震に際して災害救助法が適用された地域は、熊本県内の10市10町1村、合計21市町村です。
対象地域は次のとおりです。
市
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熊本市
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八代市
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水俣市
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山鹿市
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菊池市
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宇土市
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上天草市
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宇城市
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天草市
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合志市
町・村
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下益城郡美里町
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菊池郡大津町
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菊池郡菊陽町
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阿蘇郡西原村
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上益城郡御船町
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上益城郡嘉島町
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上益城郡益城町
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上益城郡甲佐町
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八代郡氷川町
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葦北郡芦北町
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葦北郡津奈木町
対象地域は、内閣府「令和8年熊本地震に係る災害救助法の適用について」で確認できます。
熊本県内であれば、すべての市町村が対象になるわけではないため注意が必要です。
3.本来の熟慮期間の終期が令和8年7月28日以後であること
本来の相続放棄等の熟慮期間が、令和8年(2026年)7月27日以前にすでに満了していた場合、今回の特例によって当然に期限が復活するわけではありません。
一方、本来の熟慮期間の終期が令和8年(2026年)7月28日以後である場合は、今回の特例の対象となり、令和9年(2027年)3月31日まで延長されます。
例えば、令和8年(2026年)6月1日に自分が相続人になったことを知った場合、本来の熟慮期間は同年9月1日までです。この場合、本来の期限が地震発生日以後に到来するため、対象地域に住所を有していた相続人は、令和9年(2027年)3月31日まで延長されることになります。
被相続人の住所ではなく「相続人の住所」が基準
今回の特例で特に間違いやすいのが、住所の基準です。
基準となるのは、被相続人の住所や相続財産の所在地ではなく、「相続人の住所」です。
例えば、亡くなった父親が熊本県益城町に住んでいたとしても、相続人である子が令和8年(2026年)7月28日時点で京都市に住所を有していた場合、その子は今回の特例による自動的な延長の対象にならない可能性があります。
反対に、被相続人が京都市に住んでおり、相続人が発災日時点で熊本市に住所を有していた場合は、相続人について特例が適用される可能性があります。
相続人が複数いる場合は、それぞれの相続人について個別に住所と熟慮期間を確認します。
例えば、長男は益城町に住み、二男は京都市に住んでいたという場合、長男だけが特例の対象となり、二男は通常の3か月の期限となります。
延長対象者は別途「延長申立て」をしなければならないのか
今回の政令による熟慮期間の延長は、要件を満たす相続人について法律上適用される特例です。そのため、特例を受けるためだけに、通常の「相続の承認又は放棄の期間の伸長」の申立てを別途行う制度ではありません。
もっとも、実際に相続放棄を申し立てる際には、発災日時点で対象地域に住所を有していたことや、本来の熟慮期間がいつ満了する予定だったかを確認できる資料が必要となる可能性があります。
住民票の異動がある場合や、住民票上の住所と生活の本拠が異なっていた場合などは、期限直前まで待たず、管轄の家庭裁判所へ確認することが大切です。
相続放棄の手続きはどこの家庭裁判所でするのか
相続放棄の申述先は、相続人の住所地の家庭裁判所ではありません。
原則として「被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所」に申し立てます。
例えば、相続人が熊本県内の対象地域に住所を有していても、被相続人の最後の住所地が京都市であれば、原則として京都家庭裁判所が申述先になります。
一般的には、次のような書類を準備します。
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相続放棄申述書
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被相続人の住民票除票または戸籍附票
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相続放棄をする人の戸籍謄本
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被相続人の死亡が記載された戸籍謄本
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相続関係に応じて必要となる除籍謄本・改製原戸籍謄本
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収入印紙
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裁判所が指定する郵便切手
相続放棄の申述手数料は、申述人1人につき収入印紙800円です。郵便切手の金額や組み合わせは家庭裁判所によって異なります。
裁判所の案内では、申述前に入手できない戸籍がある場合、申述後に追加提出できることもあるとされています。しかし、提出書類が不足したまま期限直前に申し立てることは危険です。戸籍がそろわない場合も含めて、事前に家庭裁判所へ確認してください。
期限が延長されても注意したい「単純承認」
熟慮期間が令和9年(2027年)3月31日まで延長されても、その間に相続財産を処分すると、単純承認をしたものと扱われ、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
注意が必要な行為として、次のようなものがあります。
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被相続人名義の預貯金を解約して自分のために使う
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相続財産である不動産を売却する
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被相続人の自動車や貴金属などを処分する
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遺産分割協議を成立させて財産を取得する
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被相続人の債権を取り立てて自分の財産にする
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相続財産を隠したり、意図的に財産目録へ記載しなかったりする
一方、相続財産の保存行為や、社会的に相当な範囲の葬儀費用の支出などについては、直ちに単純承認とはならない可能性があります。
ただし、何が保存行為に当たり、何が相続財産の処分に当たるかは、具体的な事情によって判断が分かれます。
「後で返せば問題ない」「少額なら自由に使ってよい」と自己判断せず、相続放棄を検討している場合は、被相続人の財産に手を付ける前に専門家へ相談してください。
相続放棄では一部の財産だけを選べない
相続放棄は、特定の借金や特定の不動産だけを放棄する制度ではありません。
例えば、次のような選択はできません。
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借金だけ放棄して預貯金を相続する
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被災した建物だけ放棄して土地を相続する
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管理が難しい山林だけ放棄して自宅を相続する
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住宅ローンだけ放棄して生命保険金を相続財産として取得する
相続放棄をすると、原則として最初からその相続について相続人ではなかったものと扱われます。プラスの財産もマイナスの財産も、まとめて引き継がないことになります。
なお、生命保険金のうち、相続人個人が受取人として指定されているものは、一般的には受取人固有の財産と考えられます。
相続放棄をしても受け取れる場合がありますが、契約内容や税務上の取扱いについて個別の確認が必要です。
1人が相続放棄すると次順位の相続人へ移ることがある
子が全員相続放棄をすると、被相続人の父母や祖父母が次順位の相続人になります。
父母や祖父母がすでに亡くなっている場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人となり、兄弟姉妹が亡くなっている場合には、その子であるおい・めいが代襲相続人となります。
先順位の相続人が相続放棄をしても、家庭裁判所から次順位の相続人へ自動的に連絡が届くことはありません。
借金がある相続で子が相続放棄した場合、知らない間に父母や兄弟姉妹が相続人となり、後日、債権者から請求を受けることがあります。
相続放棄をする場合は、次順位の親族への影響も確認し、必要に応じて事情を伝えることが大切です。
2027年3月31日まで待たずに財産調査を始める
期限が延長されたからといって、令和9年(2027年)3月まで何もしなくてよいわけではありません。
災害後は、金融機関、市区町村役場、法務局、保険会社などへの照会が集中し、通常より時間がかかる可能性があります。
少なくとも、次の事項は早めに確認しましょう。
プラスの財産
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預貯金
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不動産
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株式、投資信託
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自動車
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貴金属、骨董品
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貸付金
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未収金
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生命保険契約
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事業用資産
マイナスの財産
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金融機関からの借入れ
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クレジットカードの未払金
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消費者金融からの借入れ
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住宅ローン
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事業上の債務
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保証債務
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税金や社会保険料の滞納
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家賃、医療費、施設利用料の未払金
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知人や親族からの借入れ
被相続人が会社経営者や個人事業主だった場合は、連帯保証債務がないかも確認が必要です。通帳や郵便物だけでなく、メール、契約書、信用情報、確定申告書、会計帳簿なども調査対象となります。
2027年3月31日までに判断できない場合
今回の特例による期限が令和9年(2027年)3月31日まで延長されても、財産や債務の調査が終わらないことがあります。
その場合は、期限が到来する前に、家庭裁判所へ「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立てる方法があります。
家庭裁判所が、相続財産の内容や調査状況などを考慮して相当と認めた場合には、熟慮期間がさらに伸長されます。
ただし、申し立てれば必ず認められるわけではありません。また、相続人が複数いる場合、期間伸長の効果は原則として申立ての対象となった相続人について生じるため、各相続人の期限管理が必要です。
調査に時間がかかることが予想される場合は、令和9年3月になってからではなく、余裕をもって準備を始めてください。
今回の延長と相続税・相続登記の期限は別制度
相続放棄の熟慮期間が延長されても、相続に関係するすべての期限が自動的に延長されるわけではありません。
特に次の期限とは区別する必要があります。
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相続税の申告・納付期限
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準確定申告の期限
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相続登記の申請義務に関する期限
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固定資産税の現所有者申告
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被災者向け給付金や支援制度の申請期限
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保険金請求の期限
また、令和9年(2027年)3月31日は、令和6年(2024年)4月1日より前に相続によって不動産を取得したことを知っていた人に関する、相続登記の申請義務の経過措置上の期限でもあります。
今回の熊本地震による相続放棄の期限と、相続登記義務化に関する期限は、偶然同じ日になっていますが、まったく別の制度です。
「相続放棄の期限が延びたから、相続税や相続登記もすべて同じように延びる」と考えないようにしましょう。
特例の対象外でも諦めずに確認する
次のような場合は、今回の特例による自動的な延長の対象外となる可能性があります。
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発災日時点の住所が対象21市町村以外だった
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被相続人は対象地域に住んでいたが、相続人は別の地域に住んでいた
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本来の熟慮期間が令和8年(2026年)7月27日以前に満了していた
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発災日後に対象地域へ転居した
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すでに相続財産を処分している
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すでに遺産分割協議を成立させている
もっとも、特例の対象外だからといって、直ちに相続放棄が不可能と決まるわけではありません。
被相続人に財産がないと信じる相当な理由があり、後日、債権者からの通知によって初めて多額の債務を知った場合など、死亡から3か月を経過していても相続放棄が受理される可能性があります。
ただし、これは個別の事情によって判断されます。期限を過ぎている可能性がある場合は、債権者から届いた請求書、通知書、郵便物を捨てず、受け取った日が分かる封筒と一緒に保管してください。
まとめ
令和8年熊本地震により、一定の相続人について、相続放棄や限定承認の熟慮期間が令和9年(2027年)3月31日まで延長されました。
対象となるかを判断するポイントは、次のとおりです。
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令和8年(2026年)7月28日時点で対象21市町村に住所を有していたか
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判断基準となるのは原則として被相続人ではなく相続人の住所である
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本来の熟慮期間の終期が令和8年(2026年)7月28日以後か
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相続人ごとに対象の可否や期限が異なることがある
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延長期間中も相続財産を処分すると単純承認となる可能性がある
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相続放棄には家庭裁判所での手続きが必要である
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相続税や相続登記などの期限が当然に延長されるわけではない
被災後は生活の再建が優先となり、相続財産や借金の調査まで手が回らないことも少なくありません。
しかし、相続放棄は一度期限を過ぎると、手続きが難しくなる可能性があります。
特例の対象になるか分からない場合や、被相続人に借金・保証債務がある可能性がある場合は、できるだけ早く専門家へ相談することをおすすめします。
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参考リンク
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法務省:令和8年熊本地震の被災者である相続人の方々へ~政令により延長された相続放棄等の熟慮期間は、令和9年3月31日までです~
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内閣府・総務省・法務省:「令和八年熊本地震による災害についての特定非常災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」の公布・施行について


