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遺産分割前に預金を引き出しても大丈夫?相続人が知っておくべき注意点|京都の司法書士がわかりやすく解説

2026年5月31日2026年6月10日
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はじめに

ご家族が亡くなった後、葬儀費用や当面の生活費の支払いのために、「亡くなった親の預金を引き出してもいいのだろうか」と悩まれる方は少なくありません。

特に、

  • キャッシュカードと暗証番号を知っている
  • 生前から家族が通帳管理をしていた
  • 公共料金や施設費用の支払いが迫っている

というケースでは、相続手続前に預金を引き出してしまうこともあります。

しかし、遺産分割前の預金引き出しには注意が必要です。場合によっては、他の相続人とのトラブルや、遺産分割協議の紛争につながることがあります。

この記事では、遺産分割前に預金を引き出す際の法的な考え方、注意点、トラブルを防ぐ方法について、司法書士がわかりやすく解説します。


遺産分割前の預金は誰のもの?

相続開始と同時に相続財産になる

人が亡くなると、その時点で相続が開始します。

亡くなった方(被相続人)の預金口座に入っているお金は、相続人全員の共有財産として扱われます。

つまり、相続が始まった後の預金は、

  • 長男のもの
  • 同居していた家族のもの
  • 通帳を管理していた人のもの

ではありません。

たとえ長年親の通帳を管理していたとしても、法的には「相続人全員の財産」として扱われるのが原則です。


銀行口座は死亡後に凍結される

銀行が死亡を把握すると口座は凍結される

金融機関は、口座名義人が亡くなったことを把握すると、通常、その口座を凍結します。

口座が凍結されると、

  • ATMでの引き出し
  • 振込
  • 自動引落
  • 窓口での払い戻し

などができなくなります。

これは、相続人間で勝手な払い戻しが行われることを防ぐためです。


死亡後にATMで引き出すと問題になる?

違法とまでは言えないケースもある

実際には、死亡後でも銀行が死亡を把握する前であれば、ATMで現金を引き出せる場合があります。

しかし、「引き出せる=自由に使ってよい」という意味ではありません。

相続財産である以上、他の相続人との関係では説明責任が発生します。

特に、

  • 多額の引き出し
  • 使途不明金
  • 一部の相続人だけが管理している状態

になると、後から大きなトラブルになる可能性があります。


よくある相続トラブル

「勝手に使い込んだ」と疑われる

最も多いのが、

「勝手に預金を使い込んだのではないか」

という疑いです。

たとえば、

  • 長男が単独で数百万円引き出した
  • 領収書が残っていない
  • 何に使ったかわからない
  • 生前から頻繁に出金されていた

というケースでは、他の相続人が不信感を抱きやすくなります。

実際の相続相談でも、

  • 「兄が預金を隠している」
  • 「使い込みがある気がする」
  • 「通帳を見せてくれない」

という相談は少なくありません。


葬儀費用の支払いなら問題ない?

必要費用として認められることも多い

葬儀費用や入院費など、相続発生直後に必要となる支出については、相続財産から支払われることも一般的です。

ただし重要なのは、

  • 必要な範囲であること
  • 使途を説明できること
  • 領収書を残していること

です。

たとえば、

  • 葬儀社の請求書
  • 火葬費用
  • 病院代
  • 施設利用料

などの資料を保管しておけば、後から説明しやすくなります。


相続人全員の同意なく使うのは危険

「生活費だから大丈夫」は通用しないことも

亡くなった親と同居していた家族が、

  • 自分の生活費
  • 光熱費
  • ローン返済

などに預金を使用してしまうケースがあります。

しかし、これらは相続人全員の同意がない限り、問題になる可能性があります。

特に、

  • 特定の相続人だけが利益を受けている
  • 引き出した金額が大きい
  • 長期間にわたる出金

という場合は、遺産分割協議で争点になりやすくなります。


2019年から「仮払い制度」が利用可能に

相続預金の一部払い戻し制度とは?

以前は、相続人全員の同意がないと、原則として預金を払い戻せませんでした。

しかし、2019年の法改正により、「預貯金の仮払い制度」が創設されました。

これにより、一定額については、遺産分割前でも家庭裁判所を利用せず払い戻しを受けられる場合があります。


仮払い制度の概要

預貯金の仮払い制度とは、預貯金口座の相続に伴う出金手続を行う際、本来であれば法定相続人全員で行われる遺産分割協議に基づいて手続すべきところを、一部の相続人のみからでも出金手続が可能になる制度です。

では、実際にいくらまで出金できるのでしょうか。

これは法律上決められており、次のABいずれか低い方の金額が上限となります。

A 死亡時点での預貯金残高×法定相続分(相続人の取り分)×3分の1

B 金150万円

ただし、金融機関ごとに上限があります。

この制度は、

  • 葬儀費用
  • 当面の生活費
  • 相続手続費用

などに対応するために作られました。


仮払い制度を利用するメリット

トラブル予防につながる

仮払い制度を利用すれば、

  • 正式な手続で引き出せる
  • 他の相続人に説明しやすい
  • 「勝手に使った」と疑われにくい

というメリットがあります。

相続トラブルを避けるためにも、可能な限り制度を利用することをおすすめします。


生前からの出金も問題になることがある

「名義預金」「使い込み」が争点になるケース

相続トラブルでは、死亡後だけでなく、生前の出金も問題になることがあります。

たとえば、

  • 認知症になってから多額の出金がある
  • 特定の家族だけが管理していた
  • 通帳や印鑑を一人が保管していた

という場合です。

このようなケースでは、

  • 不当利得返還請求
  • 遺産への持戻し
  • 特別受益

などが問題になることがあります。


預金を引き出す前に確認したいこと

① 他の相続人に連絡する

まず重要なのは、他の相続人に状況を説明することです。

無断で引き出すと、不信感につながります。

たとえ緊急性がある場合でも、

  • 何のために必要か
  • いくら必要か
  • 後で精算すること

を共有しておくことが大切です。


② 領収書を必ず保管する

支出の証明資料は必ず残しましょう。

具体的には、

  • 葬儀費用
  • 医療費
  • 公共料金
  • 固定資産税
  • 施設費用

などの領収書や請求書です。

後から説明できる状態にしておくことが重要です。


③ 通帳履歴を確認する

生前・死後を含めて、入出金履歴を確認しましょう。

不自然な出金がある場合は、後々問題になることがあります。

金融機関では取引履歴を取得できます。


相続放棄を検討している場合は特に注意

財産を処分すると単純承認になる可能性

相続放棄を考えている場合は、預金の引き出しに特に注意が必要です。

相続財産を自分のために処分したと判断されると、「単純承認」とみなされ、相続放棄できなくなる可能性があります。

借金が多いケースなどでは、安易な引き出しは危険です。

判断に迷う場合は、早めに専門家へ相談しましょう。


遺産分割前の預金管理で大切なこと

「透明性」が重要

相続トラブルの多くは、お金そのものよりも、「説明がないこと」から始まります。

そのため、

  • 何に使ったか
  • いくら使ったか
  • 誰が管理しているか

を明確にすることが非常に重要です。

相続人同士で情報共有しながら進めることで、不要な争いを防ぎやすくなります。


司法書士に相談するメリット

相続手続では、

  • 相続人調査
  • 戸籍収集
  • 預金解約
  • 遺産分割協議書作成
  • 相続登記

など、多くの手続が必要になります。

また、預金の引き出しをめぐって相続人間で意見が対立することもあります。

司法書士へ相談することで、

  • 法的な整理
  • 必要書類の案内
  • 円満な遺産分割のサポート
  • 不動産相続手続

などについて、適切なアドバイスを受けられます。


まとめ

遺産分割前に預金を引き出すこと自体が、直ちに違法になるとは限りません。

しかし、相続財産は相続人全員の共有財産であり、無断での出金はトラブルの原因になりやすい点に注意が必要です。

特に、

  • 使途不明金
  • 多額の出金
  • 他の相続人への説明不足

は、相続紛争につながることがあります。

葬儀費用などで必要な場合でも、

  • 他の相続人への共有
  • 領収書保管
  • 仮払い制度の利用

を意識することが大切です。

相続手続や預金管理で不安がある場合は、早めに司法書士などの専門家へ相談することをおすすめします。


京都・奈良・大阪で相続手続のご相談なら不動リーガルオフィスへ

相続登記、遺産分割、預金解約、遺言、生前対策などのご相談を承っております。

「相続人同士でもめたくない」
「預金の扱いに不安がある」
「何から始めればよいかわからない」

という方は、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

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