近年、相続手続きや災害時の預貯金確認を円滑にするため、「預貯金口座付番制度」が注目されています。

相続のご相談を受ける中で、

「亡くなった親がどこの銀行に口座を持っていたかわからない」

「複数の金融機関を調べるのが大変」

といったお悩みを耳にすることがあります。

預貯金口座付番制度は、このような問題を解決するために創設された制度です。

この記事では、預貯金口座付番制度の概要やメリット、手続き方法、注意点、そして相続時預貯金口座照会制度との関係について、司法書士の視点からわかりやすく解説します。


預貯金口座付番制度とは

預貯金口座付番制度とは、金融機関にマイナンバーを届け出ることで、預貯金口座とマイナンバーを紐付ける制度です。制度の正式名称は「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律(口座管理法)」に基づく制度です。

この制度は任意であり、預貯金口座を保有している方が希望した場合に利用できます。金融機関への届出を行わなければ、自動的に付番されることはありません。


預貯金口座付番制度が創設された背景

従来、相続が発生した際には、亡くなった方がどこの金融機関に口座を持っていたのかを相続人が一つずつ調査する必要がありました。

しかし、

  • 通帳が見つからない
  • キャッシュカードがない
  • ネット銀行を利用していた
  • 複数の金融機関に口座がある

といったケースでは、口座の特定が困難になることがありました。

また、大規模災害が発生した場合にも、被災者自身が預貯金口座を確認できないケースが想定されます。

こうした課題を解決するため、マイナンバーを活用して預貯金口座を管理できる仕組みとして預貯金口座付番制度が導入されました。


預貯金口座付番制度のメリット

相続時に口座を探しやすくなる

最大のメリットは、相続発生時に被相続人の預貯金口座の所在を確認しやすくなる点です。

マイナンバーが付番された口座であれば、所定の手続きにより口座の有無を確認できるようになります。

特に、

  • 高齢の親が複数の銀行を利用していた
  • ネット銀行を利用していた
  • 通帳が見つからない

といったケースでは大きなメリットがあります。


災害時の口座確認が容易になる

地震や水害などで通帳やキャッシュカードを失った場合でも、マイナンバーが付番されていれば口座の所在確認がしやすくなります。

災害時の生活再建を迅速に進めるためにも有効な制度です。


複数の金融機関への届出が可能

2025年4月から制度が拡充され、金融機関やマイナポータルを通じて複数の金融機関へまとめてマイナンバーを届け出る仕組みが整備されました。

これにより、利用者の利便性が大きく向上しています。


預貯金口座付番制度の手続き方法

金融機関窓口で申し込む方法

利用している銀行や信用金庫などの金融機関窓口で手続きできます。

一般的に必要となるものは以下のとおりです。

  • マイナンバーカード
  • 本人確認書類
  • 届出書類

必要書類は金融機関によって異なるため、事前に確認しましょう。


マイナポータルから申し込む方法

マイナンバーカードを利用して、マイナポータルからオンライン申請することも可能です。

オンライン手続きに対応している金融機関であれば、自宅から申請できます。


預貯金口座付番制度の注意点

自動的に付番されるわけではない

預貯金口座付番制度は任意制度です。

公金受取口座を登録していても、自動的にすべての預貯金口座へ付番されるわけではありません。本人の同意と届出が必要です。


国が預金残高を把握する制度ではない

「マイナンバーと銀行口座を紐付けると国に預金額が知られるのではないか」と心配される方もいます。

しかし、預貯金口座付番制度は預金残高を国が常時把握するための制度ではありません。金融機関への届出によって直ちに預金残高が国へ共有されるわけではありません。


一部対象外の金融機関がある

一部の金融機関については、制度上の一部手続きが対象外となっています。

利用を検討している方は事前に確認しておくと安心です。


相続時預貯金口座照会制度との関係

預貯金口座付番制度と混同されやすい制度に「相続時預貯金口座照会制度」があります。

両者は密接に関連していますが、制度の目的は異なります。

相続時預貯金口座照会制度とは

相続時預貯金口座照会制度とは、相続人が一定の手続きを行うことで、亡くなった方がどの金融機関に口座を保有していたかを照会できる制度です。

2025年4月から利用が開始されました。


両制度の違い

項目 預貯金口座付番制度 相続時預貯金口座照会制度
利用時期 生前 相続発生後
目的 口座とマイナンバーを紐付ける 相続人が口座を探す
利用者 口座名義人本人 相続人等
効果 口座管理の効率化 相続財産調査の効率化

預貯金口座付番制度を利用していると、相続時預貯金口座照会制度による口座確認がよりスムーズになることが期待されています。


相続手続きにおける活用場面

司法書士が担当する相続案件では、

  • 遺産分割協議
  • 預貯金の解約手続き
  • 相続財産調査

などの場面で預貯金口座の調査が重要になります。

被相続人が生前に預貯金口座付番制度を利用していた場合、相続人の負担軽減につながる可能性があります。

特に近年はネット銀行の利用者も増えているため、口座の把握が難しくなるケースも少なくありません。

将来の相続対策の一環として検討する価値のある制度といえるでしょう。


まとめ

預貯金口座付番制度は、マイナンバーと金融機関の預貯金口座を紐付ける任意の制度です。

主なメリットは、

  • 相続時の口座確認がしやすくなる
  • 災害時の口座確認が容易になる
  • 複数金融機関への届出が可能

という点にあります。

また、2025年から開始された相続時預貯金口座照会制度とも密接に関連しており、今後の相続手続きの効率化に大きく貢献することが期待されています。

将来の相続でご家族に負担をかけないためにも、預貯金口座付番制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。


参考リンク

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