「数年前に遺言書を書いたけれど、家族の状況が変わった」

「財産の分け方を変えたくなったけれど、一度作った遺言書は書き直せる?」

人生のライフステージや心境の変化によって、作成済みの遺言書の内容を変更したいと考えるのは決して珍しいことではありません。

結論から申し上げますと、遺言書は何度でも、いつでも書き直すことができます。

ただし、正しい方法で行わなければ、せっかくの書き直しが無効になってしまったり、死後に家族間でトラブルに発展してしまったりするリスクがあります。この記事では、遺言書を書き直す正しい方法と、知っておくべき注意点を司法書士が分かりやすく解説します。

1. 遺言書を書き直す2つの方法

遺言書を書き直す(変更する)には、大きく分けて2つの方法があります。

①【推奨】新しく遺言書を作り直す

もっとも確実で、後のトラブルを防げる方法です。

新しい遺言書を作成し、その文面に「これまでに作成した遺言をすべて撤回し、本遺言の通りに遺言する」という旨の一筆を記載します。

法律上、「日付の新しい遺言が優先される」というルールがあるため、古い遺言書を破棄していなくても、新しい遺言書が有効になります。

② 元の遺言書を修正・追加する

すでにある遺言書の一部だけを変更・追加する方法です。

しかし、この方法はおすすめしません。法律(民法)で定められた非常に厳格な修正ルール(変更箇所の指示、署名、特定の印鑑の捺印など)を守る必要があり、一文字間違えただけで修正自体が無効になるリスクが高いからです。

💡 確実なのは「新しく作り直すこと」

トラブルを避けるためにも、一部修正ではなく「新しく一から作り直す」のが実務上では一般的です。

2. 【遺言の種類別】書き直す際の手続きと注意点

現在お手元にある遺言書の種類によって、書き直しの際に気をつけるべきポイントが異なります。

元の遺言の種類 書き直しの際の手続き・注意点

自筆証書遺言


(手書きの遺言)

・新しい遺言書を書くことで、古い遺言書の内容を変更することができます。

形式(自筆証書遺言や公正証書遺言など)に関わらず、最新の日付の遺言書が優先します。内容が抵触(矛盾)しない場合は、前の遺言書も依然として有効です。

公正証書遺言


(公証役場で作った遺言)

・「公正証書遺言は、公正証書でしか書き直せない」というのは誤りです。自筆証書遺言で書き直すことも可能です。

ただし、確実性を担保するためには、再度公証役場で「公正証書遺言」として作り直すのがベストです。

法務局の保管制度

を利用している場合

・法務局に預けている古い遺言書を「撤回(取り下げ)」した上で、新しい遺言書を保管し直す手続きが必要です。

3. 遺言書を書き直す際の3つの重要注意点

注意点①:遺言者の「認知能力」が必要

遺言書を書き直す時点で、本人に遺言能力(認知能力など)が備わっている必要があります。認知症が進行した後に書き直しを行うと、後から親族に「この書き直しは無効だ」と訴えられ、泥沼の相続トラブルに発展するケースが少なくありません。書き直しを思い立ったら、健康なうちに早めに行動することが重要です。

注意点②:遺留分(いりゅうぶん)への配慮

財産の分け方を大きく変更する場合、特定の相続人に「最低限もらえる財産の権利(遺留分)」を侵害しないよう注意が必要です。遺留分を無視した書き直しをすると、死後に親族間で遺産をめぐる争い(遺留分侵害額請求)が起きてしまいます。

注意点③:遺言執行者の再検討

古い遺言書で「遺言執行者(遺言の内容をプロとして実行する人)」を指定していた場合、新しい遺言書でもその指定を引き継ぐのか、あるいは別の人(司法書士などの専門家)に変更するのかを明確にしておく必要があります。

4. まとめ:トラブルのない遺言書の書き直しは、司法書士へご相談ください

遺言書の書き直しは法律上いつでも可能ですが、「古い遺言書との矛盾がないか」「せっかく書き直した内容が法的に有効か」など、個人で判断するには難しいポイントが多く存在します。

特に、以下のような場合は専門家への相談を強くおすすめします。

  • 一度作った「公正証書遺言」の内容を変更したい

  • 家族関係や所有する不動産が変わり、どう書けばいいか迷っている

  • 後から親族間で絶対に揉めない遺言書を作りたい

当事務所では、お客様の現在の状況やご希望を丁寧にお伺いし、将来のトラブルを未然に防ぐ最適な遺言書の作成(書き直し)をサポートいたします。

「ちょっと内容を変えたいだけなんだけど…」という段階でも構いません。まずはお気軽にご相談ください。