近年、人生100年時代を迎え、熟年離婚や死別を経て「再婚」を選ばれる方が増えています。新しいパートナーや家族との生活は素晴らしいものですが、「相続」の局面においては、再婚家庭特有の複雑なリスクが潜んでいることをご存じでしょうか。

「うちは家族仲が良いから大丈夫」「財産が少ないから揉めないだろう」という油断は禁物です。

本記事では、再婚家庭で発生しやすい相続のトラブル事例と、それを未然に防ぐための強力な解決策である「遺言書の作成」について、司法書士が分かりやすく解説します。

1. なぜ再婚家庭の相続はトラブルになりやすいのか?

再婚家庭の相続が複雑になる最大の理由は、「法律上の相続人(法定相続人)」の範囲と、実際の「家族の感情」にズレが生じやすいからです。

まずは、日本の法律(民法)で定められた基本的なルールを確認しておきましょう。

【基本】誰が相続人になる?

  • 現在の配偶者: 常に必ず相続人になります(法定相続分は2分の1など)。

  • 子ども: 「前妻・前夫との間の実子」「現在の配偶者との間の実子」も、法律上は全く同じ「子ども」として平等に権利があります。

  • 現在の配偶者の連れ子: 原則として相続権はありません(※養子縁組をしていない場合)。

【注意!】

別れた前配偶者に相続権はありませんが、「前配偶者との間の子」には、何年会っていなくても、どれだけ疎遠であっても、実子として財産を相続する権利が残り続けます。

2. 再婚家庭でよくある3つの相続トラブル事例

① 前妻(前夫)の子と、現在の配偶者が対立するケース

最も多いトラブルです。被相続人(亡くなった方)が亡くなった後、現在の配偶者と前妻の子が、一緒に遺産分割協議(話し合い)をしなければなりません。

  • 「一度も会ったことがない前妻の子に連絡がつかない」

  • 「前妻の子から、法定相続分きっちりの現金を要求され、今住んでいる自宅を売却せざるを得なくなった」

    といった悲劇が実際に起きています。

②「連れ子」に財産を残せないケース

現在の配偶者の連れ子を我が子のように可愛がり、長年一緒に暮らしていても、養子縁組をしていない限り、その連れ子に相続権はありません。

自分が亡くなった後、すべての財産が前妻の子の手に渡り、連れ子には1円も残せないという事態になりかねません。

③ 自分が亡くなった後、さらに次の世代で揉めるケース(数次相続)

あなたが亡くなり、現在の配偶者が財産を相続したとします。その後、その配偶者が亡くなったとき、その財産は「配偶者の連れ子(または配偶者の親族)」に相続されます。

結果として、「自分が築いた財産が、再婚相手の家系にすべて流れてしまう」ということになり、親族間で大きな不満が残ることがあります。

3. トラブルを未然に防ぐ「遺言書」の圧倒的なメリット

これらすべての不安を解消し、大切な家族を守るための最も有効な手段が「遺言書の作成」です。

遺言書があれば、原則として遺産分割協議(話し合い)をスキップして、指定した人に指定した財産を直接引き継がせることができます。

お悩み・リスク 遺言書による解決策
前妻の子と今の妻を関わらせたくない 「今の妻に自宅を、前妻の子には預貯金を相続させる」と指定し、お互いの接触を防ぐ。
籍を入れていない(事実婚・内縁) 内縁の妻には相続権がないため、「内縁の妻に財産を『遺贈』する」と遺言書に明記する。
養子縁組していない連れ子に財産をあげたい 「連れ子に財産を『遺贈』する」と書き残すことで、確実に財産を渡せる。

※「遺留分(いりゅうぶん)」への配慮も忘れずに

法律上、実子などには最低限の財産をもらえる権利(遺留分)があります。遺言書で「今の妻に全財産を譲る」と書いても、前妻の子から遺留分を請求されると、結局トラブルになります。

そのため、遺言書を作る際は「遺留分を侵害しない分け方にする」か、「付言事項(ふげんじこう:遺言の最後に書き残すメッセージ)」で感謝や理由を伝え、納得してもらう工夫が必要です。

4. 再婚家庭の相続対策は、プロである「司法書士」へ

再婚家庭の相続対策は、家族構成や財産の状況によって100人100通りの正解があります。

もし遺言書の書き方に不備があれば、せっかく作った遺言書が無効になってしまったり、かえって残された家族の揉め事の種になったりすることもあります。特に再婚家庭の遺言は、一般的な家庭よりも慎重な設計(遺留分対策や、遺言執行者の指定など)が必要です。

司法書士がお手伝いできること

  • 複雑な戸籍集めによる「相続人の正しい把握」

  • 将来のトラブル(遺留分など)を予測した「遺言書文案の作成」

  • 最も安全で確実な「公正証書遺言」の作成手続きサポート

  • 万が一の際にスムーズに手続きを進める「遺言執行者」への就任

まずはお気軽にご相談ください

「まだ元気だから大丈夫」と思っていても、人の寿命や健康状態は予測できません。認知症などを患ってしまうと、意思能力がないとみなされ、遺言書を作ることができなくなってしまいます。

残された新しい家族、そしてこれまでの家族の双方が、あなたの死後に悲しい思いをしないために。元気な「今」だからこそ、一歩を踏み出してみませんか?

当事務所では、再婚家庭のデリケートな相続問題に寄り添い、親身になってサポートいたします。まずは無料相談から、お気軽にお問い合わせください。