相続が発生すると、預貯金の解約、不動産の名義変更、証券口座の手続きなど、さまざまな相続手続きが必要になります。
その際、多くの金融機関や法務局で求められるのが「戸籍一式」です。
しかし、相続手続きのたびに大量の戸籍を提出しなければならず、「何度もコピーを取るのが大変」「手続き先が多くて負担が大きい」と感じる方も少なくありません。
そのような負担を軽減する制度として創設されたのが「法定相続情報証明制度」です。
この制度を利用すると、法務局が認証した「法定相続情報一覧図」の写しを使って、複数の相続手続きを効率的に進めることができます。
この記事では、
- 法定相続情報一覧図とは何か
- どのような場面で使えるのか
- 取得するメリット
- 必要書類
- 手続きの流れ
- 注意点
について、司法書士がわかりやすく解説します。
法定相続情報一覧図とは?
法定相続情報一覧図とは、亡くなった方(被相続人)と相続人の関係を一覧にまとめた家系図のような書類です。
正式には、法務局が「法定相続情報証明制度」に基づいて認証した書類を指します。
平成29年5月29日から始まった制度で、相続手続きの簡素化を目的として創設されました。
一覧図には、以下のような内容が記載されます。
- 被相続人の氏名
- 被相続人の最後の住所
- 被相続人の生年月日・死亡日
- 相続人の氏名
- 続柄
- 生年月日
法務局で認証を受けると、「認証文付きの一覧図の写し」が交付されます。
この写しを各金融機関や法務局などに提出することで、戸籍一式の代わりとして利用できる場合があります。
法定相続情報証明制度ができた背景
従来の相続手続きでは、手続きをするたびに戸籍謄本一式を提出する必要がありました。
たとえば、
- 銀行A
- 銀行B
- 証券会社
- 法務局
- 保険会社
など、提出先ごとに大量の戸籍を提出する必要があります。
相続人が多い場合や、転籍を繰り返している場合には、戸籍の束が何十枚にもなることがあります。
その結果、
- 戸籍収集に時間がかかる
- コピー代がかかる
- 原本還付の手続きが面倒
- 相続人の負担が大きい
といった問題がありました。
これらの負担を軽減するために創設されたのが、法定相続情報証明制度です。
法定相続情報一覧図を取得するメリット
1.相続手続きがスムーズになる
最大のメリットは、相続手続きを効率化できる点です。
法定相続情報一覧図があれば、金融機関などで戸籍一式の代わりとして利用できるため、何度も戸籍を提出する必要がなくなります。
特に、複数の金融機関に手続きを行う場合には大きなメリットがあります。
2.戸籍の束を何度も提出しなくて済む
相続では、被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要になります。
古い戸籍は読みづらく、枚数も多くなる傾向があります。
法定相続情報一覧図を取得しておけば、一覧図の写しを提出するだけで済むケースが多いため、手続きの負担を大幅に軽減できます。
3.相続登記でも利用できる
不動産の相続登記でも利用可能です。
令和6年4月から相続登記が義務化され、相続登記を放置するリスクが高まっています。
法定相続情報一覧図を取得しておけば、不動産の名義変更手続きも進めやすくなります。
4.無料で取得できる
法定相続情報一覧図の取得自体に法務局の手数料はかかりません。
戸籍取得費用などは必要ですが、制度利用料は無料です。
そのため、「取得しておいて損はない制度」といえます。
法定相続情報一覧図のデメリット・注意点
便利な制度ですが、注意点もあります。
1.自分で作成する必要がある
一覧図は、自動で作成されるわけではありません。
戸籍を収集し、相続関係を確認したうえで、一覧図を作成する必要があります。
相続関係が複雑な場合には、作成が難しいこともあります。
2.戸籍収集は必要
法定相続情報一覧図を取得するためには、結局のところ戸籍収集が必要です。
そのため、
- 戸籍の読み取り
- 相続人調査
- 本籍地への請求
などの作業は避けられません。
法定相続情報一覧図の取得に必要な書類
一般的には、以下の書類が必要です。
被相続人に関する書類
- 出生から死亡までの戸籍謄本
- 除籍謄本
- 改製原戸籍
- 住民票の除票又は戸籍附票
相続人に関する書類
- 戸籍謄本
- 住民票又は戸籍附票(相続人の住所を記載して作成する場合)
その他
- 法定相続情報一覧図
- 申出書
- 代理人の場合は委任状
なお、相続関係によって必要書類は異なりますので、このケースはどうなの?と思われた方は、お気軽にお問合せください。
法定相続情報一覧図の取得手続きの流れ
1.戸籍を収集する
まずは被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集します。
相続人全員の確認が必要です。
2.一覧図を作成する
収集した戸籍をもとに、相続関係を一覧図にまとめます。
家系図のような形式で作成します。
3.法務局へ申出する
必要書類を添付して法務局へ提出します。
提出先は、
- 被相続人の本籍地
- 被相続人の最後の住所地
- 申出人の住所地
- 不動産所在地
を管轄する法務局です。
4.認証後、一覧図の写しを受け取る
法務局で確認が完了すると、認証文付きの一覧図の写しが交付されます。
複数枚取得することも可能です。
法定相続情報一覧図はどんな人におすすめ?
特に以下のような方にはおすすめです。
金融機関が複数ある方
銀行や証券会社が多い場合、戸籍提出の負担を減らせます。
相続人が多い方
兄弟姉妹相続など、相続人が多いケースでは非常に便利です。
不動産を所有している方
相続登記で利用できるため、不動産相続がある場合には取得をおすすめします。
相続手続きを早く進めたい方
一覧図があることで、各機関での確認作業がスムーズになる場合があります。
相続登記義務化との関係
令和6年4月から、相続登記が義務化されました。
不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければならず、正当な理由なく放置すると過料の対象となる可能性があります。
そのため、以前よりも「早めに相続手続きを進めること」が重要になっています。
法定相続情報一覧図を活用することで、相続登記を含む各種手続きを効率的に進めることができます。
司法書士に依頼するメリット
法定相続情報一覧図は自分で取得することも可能ですが、司法書士へ依頼することで以下のメリットがあります。
戸籍収集を任せられる
本籍地が遠方にある場合でも対応可能です。
相続関係を正確に判断できる
複雑な相続では、戸籍の読み取りに専門知識が必要です。
相続登記まで一括対応できる
一覧図の取得だけでなく、
- 相続登記
- 遺産分割協議書作成
- 預貯金解約サポート
などもまとめて依頼できます。
まとめ
法定相続情報一覧図は、相続手続きをスムーズに進めるための非常に便利な制度です。
特に、
- 相続手続き先が多い
- 不動産がある
- 相続人が多い
- 手続きを効率化したい
という方にとって、大きなメリットがあります。
一方で、
- 戸籍収集
- 相続関係の確認
- 一覧図作成
には専門知識が必要となる場合もあります。
相続関係が複雑な場合や、手続きに不安がある場合には、司法書士へ相談することをおすすめします。
相続手続き・法定相続情報一覧図のご相談は不動リーガルオフィスへ
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- 相続登記
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