ご家族が亡くなった際、相続の手続きを進めようとしたら「実は何年も前に亡くなった家族がいる」「手続き中に別の家族も亡くなってしまった」というケースは少なくありません。
このように相続が重なる複雑なケースでは、「代襲(だいしゅう)相続」や「数次(すうじ)相続」という法律上の仕組みが関係してきます。名前は似ていますが、「誰が相続人になるのか」「必要な書類や手続きはどうなるのか」が大きく異なります。
当事務所が、それぞれの具体例と注意点を分かりやすく解説します。
1. 代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは?
代襲相続とは、「本来、相続人になるはずだった人」が、被相続人(亡くなった方)よりも「前に」亡くなっている場合に、その人の子ども(孫や甥・姪)が代わりに相続権を引き継ぐ仕組みです。
💡 具体例で見る代襲相続
お父さん(被相続人)が亡くなったケースを考えてみましょう。
-
登場人物: お父さん、長男、長男の子(お孫さん)
-
状況: お父さんが亡くなる前に、すでに長男が病気などで亡くなっていた。
-
結果: お父さんの遺産は、亡くなった長男を飛び越えて、長男の子(お孫さん)が代わりに相続します。
【お父さん(被相続人)】 ── 2026年5月に逝去
│
【長 男(本来の相続人)】 ── 2024年に先逝(★ここがポイント)
│
【孫(代襲相続人)】 ──── 長男に代わって財産を相続する
代襲相続の注意点
-
引き継ぐ範囲の制限: 子どもが先に亡くなっている場合は孫、孫も亡くなっている場合はひ孫へと下の世代に続いていきます(代々代襲)。しかし、兄弟姉妹が先に亡くなっている場合の代襲相続は「甥・姪」までしか認められておらず、その子ども(甥・姪の子)には引き継がれません。
-
相続放棄では発生しない: 「先に亡くなった」場合だけでなく「相続欠格」や「廃除」によって相続権を失った場合も代襲相続は起きますが、「相続放棄」をした場合には代襲相続は発生しません。
2. 数次相続(すうじそうぞく)とは?
数次相続とは、最初の相続(一次相続)の手続きや話し合い(遺産分割協議)が終わらないうちに、相続人が「後から」亡くなってしまい、次の相続(二次相続)が始まってしまった状態を指します。
💡 具体例で見る数次相続
同じくお父さん(被相続人)が亡くなったケースです。
-
登場人物: お父さん、長男、長男の妻、長男の子
-
状況: お父さんが2026年1月に亡くなり、長男が遺産の手続きを行っている最中の2026年5月に、長男も亡くなってしまった。
-
結果: 長男が持っていた「お父さんの遺産を相続する権利」を含めて、長男の妻と長男の子が引き継ぎます。
【お父さん(被相続人)】 ── 2026年1月に逝去
│
【長 男(相続人)】 ──── 2026年5月に逝去(★手続き中に亡くなった)
│
【長男の妻 & 子】 ───── 長男が持っていた「お父さんの遺産をもらう権利」も相続する
数次相続の注意点
-
配偶者も関係してくる: 代襲相続では「血のつながった下の世代(子どもや孫)」しか登場しませんでしたが、数次相続では後から亡くなった相続人の「配偶者(妻や夫)」も相続人として遺産分割協議に参加することになります。
-
遺産分割協議書が複雑になる: お父さんの遺産を分ける話し合い(遺産分割協議)に、長男の代わりに「長男の妻と子」が加わるため、遺産分割協議書の書き方が非常に特殊で複雑になります。
3. 「代襲相続」と「数次相続」の違いまとめ
一番の大きな違いは、「どちらが先に亡くなったか(タイムライン)」と「配偶者が相続人になるかどうか」です。
| 項目 | 代襲相続 | 数次相続 |
| 亡くなった順番 | 相続人が**「先に」**亡くなっていた | 相続人が**「後から」**亡くなった |
| 新たな相続人の範囲 | 子どもや孫、甥・姪(血族のみ) | 亡くなった相続人の配偶者も含まれる |
| 戸籍集めの難易度 | 先に亡くなった人の出生〜死亡までが必要 | 複数人分の出生〜死亡までが必要で非常に複雑 |
4. 司法書士からのアドバイス:重なる相続は「戸籍集め」と「話し合い」が難所です
代襲相続や数次相続が発生すると、通常の相続に比べて集めなければならない戸籍謄本の数が数倍に跳ね上がるケースがほとんどです。明治・大正時代まで遡って古い戸籍を読み解かなければならないこともあります。
また、数次相続などで「普段あまり連絡を取っていない親族の配偶者」が相続人に加わると、話し合いのハードルが一段と高くなります。遺産の名義変更(不動産登記など)を放置していると、さらに次の数次相続が発生して、相続人が数十人に膨れ上がってしまい、事実上名義変更ができなくなる恐れもあります。
当事務所では、複雑な戸籍の収集から、特殊な遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更(相続登記)まで、一括してサポートしております。「うちのケースはどちらになるのだろう?」「何から手をつければいいか分からない」という方は、どうぞお早めにご相談ください。丁寧にお話を伺い、スムーズな解決をお手伝いいたします。

