「遺言書を書いておけば、自分の死後はすべて安心」と思っていませんか?

実は、遺言書を作るのと同じくらい大切なのが、「書かれた内容を誰が実行するのか」を決めておくことです。この、遺言書の内容を具体的に実現する役割の人のことを「遺言執行者(いごんしっこうしゃ)」といいます。

今回は、遺言執行者がなぜ必要なのか、どんな仕事をするのかを、司法書士がわかりやすく解説します。

1. 遺言執行者は「遺言の実現を任されたリーダー」

遺言執行者とは、一言でいうと「亡くなった方の遺志(遺言書の内容)を正確に、スムーズに実行するために法律で認められた強力な権限を持つ人」です。

遺言書に「長男に自宅を、長女に預貯金を相続させる」と書いてあっても、自動的に名義が変わるわけではありません。実際に銀行に行って手続きをしたり、法務局で登記(名義変更)をしたりする人が必要になります。

その手続きを一手に引き受けるのが、遺言執行者の役割です。

2. 具体的にはどんな仕事をするの?

遺言執行者の仕事は、多岐にわたります。主な流れは以下の通りです。

  1. 就任の通知:相続人全員に「私が遺言執行者に就任しました」と連絡します。

  2. 財産の調査と目録の作成:預貯金や不動産、有価証券などを調べ、リスト(財産目録)を作って相続人に開示します。

  3. 各種手続きの実行

    • 銀行での口座解約・払い戻し手続き

    • 不動産の名義変更(相続登記)の申請

    • 遺贈(相続人以外の人に財産を分けること)の手続き

    • 子の認知や、相続人の廃除(※これらは遺言執行者しかできません)

  4. 完了報告:すべて終えたら、相続人に報告書を送ります。

💡ここがポイント!

遺言執行者が指定されている場合、相続人は勝手に遺産を処分することができなくなります。これにより、「一人の相続人が勝手に預金を引き出してしまった」というようなトラブルを防ぐことができます。

3. なぜ遺言執行者を決めておくべきなの?(3つのメリット)

遺言執行者を指定していなくても、遺言書自体は有効です。しかし、指定していないと、残されたご家族が次のような負担を背負うことになります。

① 手続きが圧倒的にスムーズになる

遺言執行者がいない場合、銀行解約や不動産の名義変更で「相続人全員の署名や実印(印鑑証明書)」を求められるケースが多々あります。遺言執行者がいれば、その人の署名と実印だけで手続きを進められるため、手続きのスピードが劇的に上がります。

② 親族間の心理的な負担を減らせる

相続人の一人が代表して手続きをすると、他の親族から「本当に公平にやってくれているのか?」と疑念を持たれ、ギクシャクしてしまうことがあります。第三者や明確なリーダー(遺言執行者)がいれば、角を立てずに手続きを完了できます。

③ 遺言執行者にしかできない手続きがある

「未認知の子を認知する」「お世話になった人に財産を寄付(遺贈)する」といった内容は、法律上、遺言執行者がいないと手続きが進められません。

4. 遺言執行者は誰を選べばいい?

遺言執行者は、未成年者と破産者以外であれば、誰でもなることができます。

大きく分けると、次の2つの選択肢があります。

誰に頼むか メリット デメリット・注意点
家族・親族

・心理的に頼みやすい

 

・専門家への費用がかからない

・手続きが難しく、負担が大きい

 

・他の相続人から不満が出ることも

司法書士などの専門家

・法律に則って確実、迅速

 

・感情が絡まないためトラブルを防げる

・専門家への報酬(費用)が発生する

ご家族を遺言執行者に指定することも可能ですが、平日に何度も銀行や法務局へ足を運んだり、慣れない専門書類を作成したりするのは、想像以上に大きな負担となります。また、万が一ミスがあると親族間のトラブルに発展しかねません。

そのため、最初から「法律のプロである司法書士」を遺言執行者に指定しておくケースが増えています。

まとめ:大切な遺言書だからこそ、最後まで確実に届けるために

遺言書は、あなたが家族を想って残す最後のメッセージです。しかし、そのメッセージを受け取ったご家族が、手続きの煩雑さで苦労してしまっては本末転倒です。

当事務所では、遺言書の作成(文案のアドバイス)から、遺言執行者の引き受けまで、トータルでサポートしております。

「自分の場合は遺言執行者を立てるべき?」「費用はどれくらいかかる?」など、少しでも気になった方は、まずはお気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。